家事活動負担から見た世帯単位の生活時間行動のジェンダー分析

 

目的

          論文の章構成

第1章        はじめに

2章「夫婦のみ」の世帯についての分析

3章「夫婦と子」の世帯についての分析

4章「夫婦と子と両親」についての分析

5章世帯・年齢階層別生活時間の比較

6 おわりに

 

 
 伝統的な性役割分業の様相は、仕事(                                     

経済活動)と家事・育児・介護(アンペイ

ドワーク)の生活時間配分に端的に現れ

る。私たちの生活は世帯を単位として営

まれていることが多く、この時間配分の

相違は共働きか否か家族類型、夫妻それ

ぞれの生活時間の相違など、世帯ごとの

様相の相違が、世帯員個々人の生活時間

配分に大きな影響を与えている。その中で、男女雇用均等法が施行され、女性の社会参加が推進された1980年代から1990年代にかけてどのように変化したのかを明らかにする事を目的に、研究に取り組んだ。

方法

平成3年度社会生活基本調査(1991年度調査)のリサンプリングデータを使用した。性役割分業の様相はまず第1に生活時間配分(時間編)に端的に現れる事から時間編のみを使用した。夫と妻の就業状況に焦点を当て、夫と妻の「有業・無業」の別、従業上の地位週間就業時間を再分類し(雇用・役員=雇用者、業主・家族従業者=自営)(35時間以上=常勤型、35時間未満=パート型)、これらをクロスする事によって12の世帯類型に分類し直し、世帯主、配偶者、子ども、父母など、全ての世帯員にこの新世帯分類を付加し、世帯分類ごとに集計を行った。

結果及び考察

夫妻の家事活動時間を比較すると、妻が有業であれ、妻の家事活動時間は夫よりも著しく長い事が明らかになった。常勤型の妻は他の妻と比べ家事活動時間は短いが、その分を夫が補っているというわけではなく、家事活動時間に時間をかけていないということがわかった。妻無業型の夫は妻パート型、妻自営型の夫よりも家事活動時間が長く、妻が専業主婦であっても家事活動に参加していることがわかった。「夫婦と子」の世帯の場合、育児時間が大きく影響し、夫妻の家事活動時間は「夫婦のみ」の世帯よりも長くなっている。さらに、子どもも一定の家事活動参加が見られる事がわかった。

「夫婦と子と両親」の世帯の場合、父母(特に母)の存在から妻の家事活動時間は減少するものと推測していたが、「夫婦と子」の世帯の妻の家事活動時間と比較したところ、ほとんどの世帯で「夫婦と子と両親」の世帯の妻の方が家事活動時間が長い事がわかった。この結果から、父母とともに生活することで、妻の家事活動時間が軽減されるのではなく、逆に増加しているという事が明らかとなった。しかし、この共に生活する父母が夫の両親であるのか、妻の両親であるのか明らかとなれば、その別によって結果は異なると推測される。

まとめ

  夫妻の就業時間別、年齢階層別、家族類型別に結果を見たが、推測通り配偶者の家事活動時間が非常に長い事がわかった。このデータはリサンプリングデータであり、度数に非常にばらつきがある。そのため、分析するための数まで到達していないデータも存在した。さらに細かい部分が明らかにならないため、今後の調査内容の検討が望まれる。